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Press Release Zurich, Switzerland 30-06-2020

3 min read

日立がABB社のパワーグリッド事業の買収を完了し、 日立ABBパワーグリッド社として営業開始

グローバルトップレベルのパワーグリッド事業とデジタル技術を融合した 革新的なエネルギーソリューションにより、持続可能な社会の実現に貢献

株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、2018年12月17日に締結したABB Ltd(以下、ABB社)とのパワーグリッド事業の買収契約*1に基づき、本日、ABB社から分社されたパワーグリッド事業会社への80.1%の出資手続きを完了しました。新会社は、「Hitachi ABB Power Grids Ltd(CEO:Claudio Facchin(クラウディオ・ファキン)/本社:スイス連邦チューリッヒ/以下、日立ABBパワーグリッド社)」として発足し、本日から営業を開始します。日立でエネルギーセクターを担当する執行役副社長の西野 壽一が同社の会長を兼務し、2016年から同事業をリードしてきたファキンCEOとともに、日立の社会イノベーション事業の中核としてエネルギーソリューション事業をグローバルに強化・拡大していきます。

日立と日立ABBパワーグリッド社は、グローバルトップレベルのパワーグリッド事業と、Lumada*2をはじめとする日立のデジタル技術を組み合わせることで、革新的なエネルギーソリューションをグローバルに提供するとともに、エネルギーだけでなくモビリティ、ライフ、インダストリー、ITの各セクターにも事業を拡大していきます。日立とABBの1世紀以上にわたる歴史に基づいた、先進的なエンジニアリング技術によって、お客さまの事業の効率性や柔軟性を高めるとともに、新たなビジネスモデルの構築や社会価値、環境価値、経済価値の向上を支援することで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

 

エネルギー転換に向けて世界の電力市場はかつてない変革期を迎えており、デジタル技術を活用したイノベーションが短期的にも長期的にも求められています。再生可能エネルギーはエネルギーミックスに占める割合を大幅に増加させてきており、世界各国の野心的な脱炭素化目標を達成する上での重要性が高まっています。再生可能エネルギーはその性質上断続的(不安定)なため、複雑な運用が必要となります。多くの国で再生可能エネルギーの導入を推進してきましたが、発電量の事前予測が難しく、より臨機応変にエネルギーシステムを管理する必要があるため、柔軟で安定した運用の確立が求められています。また、電力市場において再生可能エネルギーを普及させるには、さらに多くの系統連系が必要となります。

また、分散電源の急増や、生産消費者(プロシューマー)の出現をはじめとしたエネルギー消費パターンの変化など、エネルギー情勢は変化しており、電気自動車の増加やデータセンターの拡大によって電力需要が増加するとともに、デジタル化による新しいビジネスモデルの確立も求められています。

2020年のパワーグリッドの市場規模は約1,000億米ドルであり、その中でも予兆保守や分散電源、資産最適化などのデジタル化に関する市場は、高い成長が見込まれています*3

 

さまざまなエネルギーの中でも電気は最も需要が増加しており、これに対応しつつ環境負荷を抑えることが、持続可能なエネルギーの未来に向けた課題となっています。日立ABBパワーグリッド社は先進的な技術革新の実績と、約90カ国にまたがる製造・サービス・販売・研究開発のネットワークに支えられた顧客基盤を有しており、マーケットおよびテクノロジーのリーダーとして独自のポジションを確立しています。同社は、グローバルトップのグリッドソリューションと日立の先進的なデジタル技術を融合させることで、顧客やパートナーと共に、“Powering Good for Sustainable Energy”をめざして革新的なエネルギーソリューションを協創し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

新会社の約36,000人の従業員は、今後も「より強じん、よりスマート、よりクリーンなグリッド」(Stronger, Smarter, Greener Grid)を実現するため、お客さまから選ばれるパートナーをめざしていきます。また、顧客重視のマインドセットとグローバルクラスの約2,000人の研究開発部門によって、顧客サービスやノウハウ、技術、イノベーション、グローバルトップの導入実績を活用して差別化を図っていきます。

 

また、日立ABBパワーグリッド社は、日立のデジタルソリューションのポートフォリオを活用することで、各セクターで事業を拡大することができます。エネルギー、モビリティ、インダストリーセクターに加え、ライフセクターではスマートシティやエネルギー貯蔵など、ITセクターではデータセンター管理などに貢献することで、社会イノベーション事業を拡大します。日立は、日立ABBパワーグリッド社のエネルギーソリューションを含めてLumada事業をさらに強化し、先進的なデジタルソリューションを日立グループのすべてのお客さまに展開していくことで、持続可能な社会づくりに貢献していきます。

■株式会社日立製作所 執行役社長兼CEO 東原 敏昭のコメント

「COVID-19がさまざまな活動を停滞させる中で、計画どおり新会社を発足できたことを嬉しく思います。今回のM&Aを通じて、日立を真のグローバル企業に飛躍させる素晴らしいアセットを獲得できました。

1つ目のアセットは、グローバルな社会イノベーション事業を加速する基盤です。新会社の世界No.1のパワーグリッド事業と日立のLumadaを組み合わせてエネルギープラットフォームを作り、さらに新会社のグローバルな事業基盤を活用して、さまざまな産業分野で社会イノベーション事業を拡大していきます。

2つ目のアセットは、日立のグローバル経営を加速する基盤です。新会社は、ダイバーシティに富んだタレント集団であり、また先進的なグローバルオペレーションを実行しています。日立は新会社との融合を進めることにより、人財やさまざまなオペレーションでも、真のグローバル企業への変革を加速していきます。

再生可能エネルギーの導入をはじめ、脱炭素社会の構築はSDGsの中でも喫緊の大きな課題です。日立と新会社は一体となって、この課題に挑戦し、持続可能な社会づくりに貢献してまいります。」

■日立ABBパワーグリッド社 CEO クラウディオ・ファキンのコメント

「日立とABB社のパワーグリッド事業は、100年以上にわたる豊富な技術とイノベーションの歴史を持っています。日立ABBパワーグリッド社は、グローバルトップクラスのエネルギーソリューションと日立のオープンなデジタルプラットフォームを組み合わせることで、事業機会を拡大し、新たなカスタマーバリューをグローバルに提供することが可能となります。

私たちは、より強じん、よりスマート、よりクリーンなパワーグリッドを実現するために選ばれるパートナーとして、電力供給の安全性、信頼性、効率性を促進することで、持続可能なエネルギーの未来に貢献していきます。」

なお、日立ABBパワーグリッド社の80.1%分の株式取得金額は、68.5億米ドル(約7,400億円)*4となりました。日立は、2023年以降に残りの19.9%の株式を取得し、同社を完全子会社とする予定です。

また、以下、2018年12月17日付のニュースリリースで未定としていた事項および記載の一部を変更した箇所には、下線を付しています。

 

*1 2018年12月17日付ニュースリリース「日立がABB社のパワーグリッド事業を買収し、エネルギーソリューション事業を強化」
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2018/12/1217.html

*2 お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称。

*3 当社調べ。

*4 同社事業価値の110億米ドルから負債などを減じた上で、出資比率80.1%を乗じた金額。1米ドル=108円にて計算。

 

■日立ABBパワーグリッド社(買収したパワーグリッド事業会社)の概要(2020年7月1日時点)

名称

Hitachi ABB Power Grids AG (英文社名:Hitachi ABB Power Grids Ltd)
(日立ABBパワーグリッド社)

(2020年7月1日に、会社名称を「ABB Management Holding AG」から変更)

所在地

スイス連邦 チューリッヒ

代表者の役職・氏名

CEO クラウディオ・ファキン

事業内容

パワーグリッド製品、システム、ソフトウェア、サービスソリューション等の設計、製造、販売

製造拠点数

(連結) 約100カ所*5

営業拠点数

(連結) 約200カ所*5

総従業員数

(連結) 約36,000人*5

資本金

1.32百万米ドル

設立年月日

2018年9月20日(ABB Management Holding AGとして設立。2020年7月1日付で商号変更し、Hitachi ABB Power Grids Ltdとして営業開始)

大株主及び持ち株比率

日立:80.1%   ABB社:19.9%  (出資手続き完了前 日立:0.0%   ABB社:100.0%)

日立と当該会社

との間の関係
(出資手続き完了前)

資本関係

記載すべき事項はありません

人的関係

記載すべき事項はありません

取引関係

記載すべき事項はありません

*5 2021年前半までにABB社からの分社化、および日立ABBパワーグリッド社への移管を予定している一部法人を含む。

 

■日立ABBパワーグリッド社取締役

取締役会長

西野 壽一

取締役

小田 篤

取締役

大槻 隆一

取締役

Duncan Hawthorne

取締役

Manuel Valverde

取締役

Timo Ihamuotila

取締役副会長

Frank Duggan

 

 

 

■ABB社パワーグリッド事業の最近の経営成績*6                      (百万米ドル)

決算期

2017年12月期

2018年12月期*7

2019年12月期*7

総資産

8,387

-

-

売上高

10,028

-

-

営業利益

875

-

-

Operational EBITA

1,027

-

-

*6 本数値は、ABB社より提供されたもの。

*7 ABB社パワーグリッド事業は、2018年12月期から非継続事業の一部として区分されており、同事業単独の業績は開示されていない。
ABB社が開示している、パワーグリッド事業を含む非継続事業の業績は以下の通り(単位:百万米ドル)。
2018年12月期 売上高:9,698           営業利益:994
2019年12月期 売上高:9,037           営業利益:660

 

■ABB社の概要(2019年12月31日時点)

名称

ABB Ltd

本社所在地

スイス連邦 チューリッヒ

代表者の役職・氏名

CEO Björn Rosengren (ビョルン・ローゼングレン) (2020年3月1日就任)

事業内容

エレクトリフィケーション、インダストリアル・オートメーション、モーション、

ロボティクス&ディスクリート・オートメーション

設立年月日

1988年1月5日(創業 1883年)

資本金

188百万米ドル

連結純資産

140億米ドル

連結総資産

461億米ドル

大株主及び持株比率

Investor AB:11.8%、Cevian Capital:5.3%、BlackRock:3.4%、Artisan Partners:3.0%

日立と当該会社

との間の関係

資本関係

記載すべき事項はありません

人的関係

記載すべき事項はありません

取引関係

ソフトウェア等において購買関係があります

関連当事者への該当状況

記載すべき事項はありません

 

■日程

契約締結日

2018年12月17日

株式取得実行日

2020年7月1日

 

■取得株式数、取得前後の所有株式の状況および取得金額

異動前の所有株式数

0株

取得株式数

1,001,250株(80.1%)

取得金額*8

株式買取価額                 約7,400億円

アドバイザリー費用等      約100億円

合計                               約7,500億円

異動後の所有株式数

1,001,250株(80.1%)

*8 株式買取価額は、クロージング後にABB社との価格調整を実施し確定する。また、アドバイザリー費用等は現時点での見通し。

■今後の業績に与える影響

2021年3月期の日立の連結決算における本買収の影響については、確定し次第速やかにお伝えします。

 

(参考)2021年3月期連結業績予想(2020年5月29日公表)および前期連結実績 (単位:百万円)

 

売上収益

調整後

営業利益*9

継続事業税引前

当期利益

当期利益

親会社株主に帰属する当期利益

当期連結業績予想

(2021年3月期)

7,080,000

372,000

600,000

351,000

335,000

前期連結実績

(2020年3月期)

8,767,263

661,883

180,268

127,246

87,596

*9 調整後営業利益は、売上収益から、売上原価ならびに販売費および一般管理費の額を減算して算出した指標。

 

<将来の見通しに関するリスク情報>

本資料における当社の今後の計画、見通し、戦略等の将来予想に関する記述は、当社が現時点で合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等の結果は見通しと大きく異なることがありえます。

その要因のうち、主なものは以下の通りです。

 

・主要市場(特に日本、アジア、米国および欧州)における経済状況および需要の急激な変動

・為替相場変動

・資金調達環境

・株式相場変動

・原材料・部品の不足および価格の変動

・長期契約におけるコストの変動および契約の解除

・信用供与を行った取引先の財政状態

・製品需給の変動

・製品需給、為替相場および原材料価格の変動並びに原材料・部品の不足に対応する当社および子会社の能力

・新技術を用いた製品の開発、タイムリーな市場投入、低コスト生産を実現する当社および子会社の能力

・人材の確保

・価格競争の激化

・社会イノベーション事業強化に係る戦略

・企業買収、事業の合弁および戦略的提携の実施並びにこれらに関連する費用の発生

・事業再構築のための施策の実施

・持分法適用会社への投資に係る損失

・主要市場・事業拠点(特に日本、アジア、米国および欧州)における社会状況および貿易規制等各種規制

・コスト構造改革施策の実施

・自社の知的財産の保護および他社の知的財産の利用の確保

・当社、子会社または持分法適用会社に対する訴訟その他の法的手続

・製品やサービスに関する欠陥・瑕疵等

・地震・津波等の自然災害、感染症の流行およびテロ・紛争等による政治的・社会的混乱

・情報システムへの依存および機密情報の管理

・退職給付に係る負債の算定における見積り

 

 

■日立製作所について

日立は、IT(Information Technology)、OT(Operational Technology)およびプロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業に注力しています。2019年度の連結売上収益は8兆7,672億円、2020年3月末時点の連結従業員数は約301,000人でした。日立は、モビリティ、ライフ、インダストリー、エネルギー、ITの5分野でLumadaを活用したデジタルソリューションを提供することにより、お客さまの社会価値、環境価値、経済価値の3つの価値向上に貢献します。

詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。

 

■日立ABBパワーグリッド社について

日立ABBパワーグリッド社は、日立とABB社で合わせて約250年の歴史を持つグローバルテクノロジーリーダーであり、90カ国で約36,000人の従業員を擁しています。スイスに本社を置き、電力、インダストリー、インフラ産業のバリューチェーンに加えて、モビリティ、スマートシティ、蓄電やデータセンターなどの新分野でも事業を展開しています。日立ABBパワーグリッド社は、グローバルトップの導入実績やフットプリントを生かし、お客さまの社会価値、環境価値、経済価値のバランスを向上させます。また、より強じん、よりスマート、よりクリーンなグリッドを実現するためのパートナーとして、革新的なデジタル技術により“Powering Good for Sustainable Energy”を実現していきます。

詳しくは、ウェブサイト(https://hitachienergy.com/jp/ja/)をご覧ください。

About Hitachi ABB Power Grids, Ltd.

Hitachi ABB Power Grids is global technology leader with a combined heritage of almost 250 years, employing around 36,000 people in 90 countries. Headquartered in Switzerland, the business serves utility, industry and infrastructure customers across the value chain, and emerging areas like sustainable mobility, smart cities, energy storage and data centers. With a proven track record, global footprint and unparalleled installed base, Hitachi ABB Power Grids balances social, environmental and economic values. It is committed to powering good for a sustainable energy future, with pioneering and digital technologies, as the partner of choice for enabling a stronger, smarter and greener grid. https://hitachienergy.com.

Notes to the Editor

1. Link to Hitachi announcement in December 2018: https://www.hitachi.com/New/cnews/month/2018/12/f_181217.pdf

2. Based on reported annual revenues for fiscal years 2017 – 2019 (ABB’s Power Grids Division)

For more information please contact:

Media Relations

Hitachi Energy