1 min read
日立エナジーがHVDC変換所を提供した 世界最大のドッガーバンク洋上風力発電所が初送電を達成
日立エナジーがHVDC変換所を提供した世界最大の洋上風力発電所ドッガーバンクウィンドファームにお いて、ドッガーバンクAの試運転と英国本土への初送電が実施され、当社がHVDCシステムの動作試験や性能確認に関する支援を行いました。今回の初送電は、世界的な新型コロナウィルスの感染拡大があった中でも、高い安全性と品質を確保しながら、38カ月という短期間で実施に至りました。
英国本土から約130km北東の北海に建設中のドッガーバンクウィンドファームは、ドッガーバンクA、B、Cの3つの発電所で構成されており、日立エナジーは2019年、ドッガーバンクA、B向けに陸上HVDC変換所2基・洋上HVDC変換所2基の計4基を受注、2021年には、ドッガーバンクC向けに陸上・洋上HVDC変換所計2基を受注しました。
ドッガーバンクウィンドファームの位置とHVDC連系線のルート
ドッガーバンクウィンドファームは、英国エネルギー大手SSE plcグループ傘下の再生可能エネルギー事業者であるSSEリニューアブルズと、ノルウェーのエネルギー事業者エクイノール、同じくノルウェーの洋上風力発電事業者ヴァルグローンの合弁による世界最大の洋上風力発電所です。2026年の完成後は、英国の電力需要の約5%、600万世帯分に相当する3.6GWの電力を供給することが可能となります*1。これは、2030年までに電力需要の最大3分の1を洋上風力発電で賄うという英国政府の目標達成に大きく貢献するものです。ドッガーバンクウィンドファームは、約35年間の運営が計画されています。
*1 The World’s Largest Offshore Wind Farm - Dogger Bank Wind Farm(英語サイト)
洋上風力発電所からの長距離送電においては、送電による損失を最小限に抑えることが可能なHVDCが最適な方法です。洋上HVDC変換所は、風力発電による電力を交流から直流に変換し、陸上に向けて送電します。送電された電力は、陸上のHVDC変換所において交流に変換され、送電網に連系されます。
ドッガーバンクウィンドファーム向けHVDC変換所に用いられている日立エナジーの自励式HVDCシステム「HVDC Light®」は、変換所がコンパクトかつ電力損失が極めて低いという特長を有しています。また、当社の評価によると、HVDC Lightは従来のHVDCシステムと比較して、ライフサイクル全体におけるCO2排出量を約3分の2削減します。これにより、クリーンエネルギーへの転換と、カーボンニュートラルの達成に貢献します。また、ドッガーバンクウィンドファームのプロジェクトは、複数のHVDCシステムについて同時期に受注契約を結ぶという、HVDC業界における新しいビジネスモデルの初期事例です。これにより、当社は、生産能力の拡大や人財の確保・育成、さらにはプロジェクト間で相乗効果を高める設計標準化に対して、計画的に取り組むことができます。
HVDC変換所を収容する3基の洋上プラットフォームは、洋上風力発電プロジェクトにおけるパートナーである、ノルウェーのEPC事業者アイベルが提供します。
日立エナジーのHVDC事業統括責任者であるアンドレアス・ベルトーは、「当社がドッガーバンクウィンドファームのパートナーであることを嬉しく思います。喫緊の課題であるエネルギー転換に向けては、強固なパートナーシップと新しいビジネスモデル、世界的な基準が必要となります。HVDCは、より持続可能、より柔軟、より安心・安全なエネルギーシステムを実現し、クリーンエネルギーへの転換を加速させるものです。今回の送電は、英国における将来のエネルギー需要に対応するための重要なマイルストーンであり、英国をクリーンエネルギー転換のリーダーにするための、SSEリニューアブルズとエクイノール、ヴァルグローンとのパートナーシップによって可能になったものです。」と述べています。
ドッガーバンクウィンドファームのプロジェクト責任者のオリー・キャスは、「今回の初送電への日立エナジーの貢献に感謝します。日立エナジーのHVDCシステムは、洋上風力発電所からの長距離送電を可能にするものです。英国の洋上風力発電所において初となるHVDC技術の導入に成功したことは、陸地から遠く離れた海上でも大規模な開発が可能であることを示すものです。今後も、サプライチェーンにおける各パートナーと協力して、英国の家庭や企業、そして将来の世代のために、より環境に優しい安全なエネルギーシステムを構築していきます。」と述べています。
■日立エナジーのHVDCについて
日立エナジーのHVDCソリューションは、HVDC変換バルブおよびデジタル制御プラットフォームMACH™*2、変換用変圧器、高電圧開閉装置、システム調査、設計・エンジニアリング、供給、据付管理、試運転に関する世界トップレベルの専門知識を結集したものです。
HVDC Light®は、日立エナジーが開発した変換技術で、変換所がコンパクトかつ電力損失が極めて低いという特長を有しており、各国送電網の相互連系、再生可能エネルギーの連系、陸上から洋上への電力供給など、多くの場面で活用されています。
日立エナジーは、約70年前に商用HVDC技術を開発し、以来、世界のHVDCプロジェクトの半分以上を納入してきました。
日立エナジーは、持続可能なエネルギーの未来へ向けた取り組みを加速する、グローバルな技術リーダーです。さまざまな分野のお客さまに、バリューチェーン全体にわたる革新的なソリューションとサービスを提供するとともに、お客さまやパートナーとの協創により、カーボンニュートラル実現に向けたエネルギー転換に必要な、デジタル技術を活用した変革を実現します。日立エナジーは、社会価値、環境価値、経済価値のバランスを取りながら、世界でより持続可能、より柔軟、より安心・安全なエネルギーシステムを構築する取り組みを進めています。スイス・チューリッヒに本社を置き、全世界90カ国に約40,000人の従業員を擁しており、140カ国以上の導入実績と、1兆円を超える事業規模を有しています。
詳しくは、ウェブサイト(https://www.hitachienergy.com/jp/ja)をご覧ください。
- 日立エナジー関連リンク
(1) 公式Linkedin(英語) https://www.linkedin.com/company/hitachienergy
(2) 公式Twitter(英語) https://twitter.com/HitachiEnergy
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」の事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。2022年度(2023年3月期)の連結売上収益は10兆8,811億円、2023年3月末時点で連結子会社は696社、全世界で約32万人の従業員を擁しています。
詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。