スウェーデンのゴットランド島は、世界初の商用HVDC Light®送電が行われた場所です。HVDC Light®は、パワー半導体の一つであるIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)を用いて、電流を交流から直流に変換する電圧-電源変換(VSC)技術に基づいています。
風況に恵まれたゴットランド島南部は、早くから風力発電所の建設地として注目されていました。1990年代後半には、40MWの風力発電設備が設置されましたが、風力発電の増加に対応するため、島の送電網は電力品質を維持するための改良が必要でした。さらに、架空送電線の増設に必要な許可を得ることが非常に困難だったのです。
HVDC Light®送電は、風力発電特有の電力品質問題を克服し、地中ケーブルで電力を送ることが可能なため、この問題を解決することができました。そのため、現地の電力会社 GEABは、世界初の商用HVDC Light®送電の建設を決定したのです。GEABはVattenfall ABの子会社で、 スウェーデン国家エネルギー庁とともにこのプロジェクトに資金提供しました。
ゴットランド島南部とヴィスビュー市を結ぶ送電線は定格50MWで、1999年6月に運用が開始されました。長さ70kmの押出成形80kV HVDC Light®地中ケーブル2本が、互いに近くに埋設され、ステーション間を接続しています。すべての機器は工場で密閉されたモジュールに取り付けられ、工場で試験されたため、土木工事、設置、試運転にかかる時間を最小限に抑えることができました。
主なデータ | |
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稼働年 | 1999 |
構成 | 双極1回線 |
定格電力 | 50 MW |
直流電圧 | ±80 kV |
用途 | Interconnecting grids |