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カーボンニュートラル実現に向け加速する系統用蓄電池の国内展開を推進 沼尻 祐貴
私は日立エナジーで系統用蓄電池システムを含むグリッドエッジソリューション1の技術営業を担当しています。以前は低電圧機器事業部で主に無停電電源装置(UPS)に関わる技術担当として電力変換装置や蓄電池を含んだシステムを取り扱っていました。系統用蓄電池事業は昨今の電力業界においてハイライトされている分野であり、私自身の知見を活用できると考え、2021年に現在の日立エナジージャパンに異動しました。現在は、日立製作所と共に日立エナジーの系統用蓄電池システムを用いた蓄電所の国内展開をめざした取り組みを行っています。
2050年のカーボンニュートラル実現を見据え、電力分野では大きな改革が迫られています。現在の日本の電源構成における再生可能エネルギーの比率は23%2程度ですが、政府が発表した第6次エネルギー基本計画では、これを2030年度には38%3まで引き上げようという目標が立てられています。一方で、CO2排出量の多い火力発電はその比率を下げていく必要があります。再エネの主流である太陽光や風力は出力が不安定であり、現在では、高い調整力を持つ火力発電により電力系統の安定が保たれています。今後、再エネの増加と火力発電の減少から電源系統の不安定化が想定されており、これを補うための調整力の確保は喫緊の課題です。系統用蓄電池システムは電源系統の変動に対して速やかに調整力を供給することが可能であることから、調整力の確保に向けたソリューションとして有力視されており、今後日本国内でも大きく普及していく見込みです。
日立グループとしても系統用蓄電池システム事業は、注力分野に位置付けられており、今年は日立製作所と共に初の蓄電所向けシステムの受注に至りました4。
日立エナジーの蓄電池システムは再エネの普及で日本の先を行く海外で多くの導入実績を有しており、蓄電所のみならず再エネとの組み合わせや分散型電源、そしてマイクログリッドまで対応したソリューションを提供しています。系統用蓄電池システムは世界的に見てもまだまだ発展途上の分野でありますが、欧米や豪州では日本に先行して導入が進んでいます。国内の技術要求はこういった国々の状況を見定めながら慎重な検討が進められています。このため、系統用蓄電池システムで先行する海外で検証された最先端の技術を日本に展開できる点は、自社の大きな強みであると考えおります。また、その一端を担うことに対して非常にやりがいを感じております。
この度、日立エナジーはスペインの電力変換・制御ソリューションサプライヤーの買収を発表5しました。これにより系統用蓄電池システムのポートフォリオが強化され、本分野における日立エナジーのさらなる躍進が期待されます。
持続可能な開発のための目標(SDGs)における目標7では、「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」が掲げられています。これは、「すべての人々が安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」ということを意味しており、蓄電池システムが貢献するカーボンニュートラルに向けた取り組みもSDGsの目標7と同じ未来をめざしていると言えます。
私は、今後も日立グループの一員として、SDGsに掲げられている世界的に打ち立てられた大きな目標へ貢献していきたいと考え、日々の業務に取り組んでいます。